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港区 料理サロン ひとつむぎ を主宰する あこ のおいしい徒然日記

インドネシア料理の基本材料

Posted on Jun 12th, 2013

東西約5000kmに及ぶ1万7000の島々からなる香料諸島、インドネシア。

遠い昔、インドネシアには中国やインド、アラブの商人が香辛料を求めて訪れ、
16世紀前半には、ポルトガルが産地や交易地を制して実権を握りました。

続いてスペインが進出し、植民地を獲得していき、
やがて17世紀になるとオランダが勢力をのばし、
セイロン島(シナモン原産地)、モルッカ諸島(クローブ、ナツメグ原産地)から
ポルトガルを追い出し、スパイスの栽培と取引を独占しました。
最後にやってきたのはイギリスで、その後もスパイスを求めて
血で血を洗うようなスパイス戦争が続きました。

1770年頃、フランスが原産地のスパイスの苗木を密かに盗み出し、
他の土地に移植し、続いてイギリスも、自国の植民地のマレーシア、ペナン島において、
クローブやナツメグの移植に成功し栽培地を拡大しました。
生産地が拡大することでスパイスの価値は下がり、
19世紀にはスパイス戦争も収束しました。

長きに渡るスパイス戦争で、インドネシアには世界各国の調理法が流入し
諸外国の影響を受けつつ、それぞれの気候風土や信仰に即した
独自の食文化を育んできました。

パダン料理、ジャワ料理、バリ料理、スンダ料理、マカッサル料理などなど
インドネシア各地には地方色豊かな料理があります。

例えばパダン料理はインドやイスラームの影響を受けて、
肉や野菜を香辛料で煮込んだ料理が多く、
マレー料理と共通する特徴があります。
パダン料理はその提供の仕方もユニークで
テーブルに一皿に一品盛られたおかずがずらりと並べられて、
食べた分だけお金を払います。

ジャワ料理はヒンドゥーと仏教の影響が強く、
肉をあまり使わずにテンペや豆腐などの大豆製品、
野菜を使った料理が豊富です。
ジャワ料理は甘いとみんな口を揃えて言いますが、
それは椰子砂糖やそれを主原料をしたケチャップ・マニスを
たっぷりと料理に使うためでしょう。

数多く存在するインドネシア料理ですが
今回私がどっぷりとのめり込んだのはその中のバリ料理です。

今日はインドネシア料理の導入として、バリで私がよく使った食材たちをご紹介します。


大とうがらし Cabai Besar(チャベ・ベサール)

まろやかな辛さと甘みのある唐辛子。
品種や産地によって辛さや香りが異なるので必ず極少量を味見して分量を調節する。
タイではプリック・チーファーと呼ばれる。
手に入らない場合は韓国産唐辛子で代用可能。

小とうがらし Cabai Rawit(チャベ・ラウィット)

木立唐辛子。小粒で激辛。辛味のなかにうま味がある。
タイではプリッキーヌと呼ばれる。沖縄の島唐辛子なども同様に使える。

このとうがらしを調理する時にささくれでもあろうものなら激痛が走ります。
バリの人は5〜6本平気でサンバルなどに加えますが、私の場合は1/2本もあれば充分です。
使用の際はくれぐれも気をつけて!

代用品は辛味は劣りますが鷹の爪、その他激辛とうがらし。

コリアンダーシード Ketembar(クトゥンバル)

香菜の種子。葉と種子は全く異なる香りで種はオレンジのような柑橘系の爽やかな芳香。
味は甘くマイルド。料理にさわやかな風味ととろみをつける。
ブンブやサンバルなどに頻繁に使用する。

粉末で使用することはなく、粒を砕いたりすりつぶして使う。
バリでは香菜(葉)は市場で一度もみかけなかったし、
家庭料理でもお店屋さんでも葉は使わないようです。
この辺りは香菜をふんだんに使用するタイやマレーシア料理と異なる点ですね。

クミンシード Jintan Putih(ジンタン・プティー)

香りの基本となる重要なスパイス。
カレーには絶対に絶対に欠かせない、
これだけでエスニックな風味を醸し出すことができる素晴らしい官能のスパイス。
インドのスパイス料理でも一番はじめに揃えたい基本中の基本スパイスです。
インドでは粉末もよく使用しますが、インドネシアでは粉末で使用することはなく、
粒を砕いたりすりつぶして使います。
使う前に炒って香りと香ばしさを引き立てたものをすりつぶすと
それはまさに魅惑の芳香。。。

バワン・メラ Bawang Merah

直径3〜4cmほどの紫色のたまねぎ。
うま味がありインドネシアのあらゆる料理に多用されている。
玉ねぎとにんにくを足して2で割った感じの香味野菜。
「赤わけぎ」「シャロット」とも呼ばれる。
素揚げにしたバワン・ゴレンはトッピングに。
タイではホムデンと呼ばれる。

代用品はエシャロット、たまねぎ、赤たまねぎ等。

サンバル、ブンブ、煮込み、炒め、和え物。。。
とにかく何にでもよく使うバワン・メラ。

バリには日本のたまねぎのような大きな物は輸入品しかなく、
現地の人たちはほとんど使いません。
バワン・メラ、とてもおいしいのだけれど、とにかく小さいからむくのが大変。
フランス料理店で修行していたときのペコロスの皮むきを思いだします。
自分の挙式の20名強の料理のために仕入れたバワン・メラは約3kg。大量です。
バリの海岸沿いのアパートのベランダで海を見ながら彼の手も借りて
挙式前々日にひらすらむきました。

バリのお母さん達も地べたにすわって井戸端会議しながらむいている光景をよく見ます(笑)
あんまりこんつめると気が遠くなるので、気持ちのよい空間で
のんびりと楽しみながらむくとよいですね。

ターメリック Kunyit(クニッ)

料理に独特の香りと鮮やかな黄色の色彩をつける。
パウダーと異なりほとんど苦みはなく爽やかな風味。
スパイス全体をまとめてくれる役割がある。
代用はターメリックパウダーで。

フレッシュのターメリックの染色力は尋常じゃなく強いです。
包丁も琺瑯のバットも黄色く染めてしまいます。
洗剤で洗ってもなかなか落ちません。

すりおろす際に爪に色がついたらこれまたなかなか落ちません。
ちなみに私は挙式当日爪は真っ黄色でした(汗)
なんとかマニキュアで隠しましたが、少々厄介です。

とはいえフレッシュのターメリックはすりおろしたものを水にといて、
タマリンドを少々、塩をひとつまみいれて濾したものを
そのままターメリックジュースとして飲むことが出来るほど。
いわゆるウコンジュースのようなもので、薬効があります。
私はのどが炎症して、ちぎれそうに痛くなってしまった時に
バリのお母さんに飲ませてもらって数時間で回復しました(^^)
バリの民間療法を実体験できる貴重な経験でした。

ランクアス Lengkuas/Laos

しょうがの一種。別名なんきょう、ブルージンジャー、ガンランガー、
タイではカーと呼ばれお馴染みのトヤムクンには欠かせません。
しょうがとハーブの間の子、といった感じの爽やかな香りが特徴。

ジュルック Jeruk

小ぶりのジュルック・ニマウは大きいものよりも香りがよく頻繁に使用する。
料理やサンバルに加えると全体がひきしまり、食欲をかき立てる。
すだちで代用できる。大きいジュルック・ニピスはライム。

こぶみかんの葉 Daun Jeruk Purut(ダウン・ジュルック)

柑橘系の爽やかな芳香をもち、手でちぎると芳しい香りが広がる。
レモングラスと併用して使われることが多い。
英語名はカフィアライムリーフ、
タイではパイマックルートと呼ばれアジアでもお馴染みのハーブ。
ブンブやサンバル、煮込み料理やスープによく使う。

代用品は柑橘類の皮や葉。

レモングラス Daun Sereh(ダウン・スレ)

レモンのような爽やかな芳香をもつハーブ。
インドネシアでは根に近い茎の部分を生のまま刻んだり、
つぶして香りづけに使う。ブンブやサンバル、煮込み料理やスープによく使う。

クミリ Kemiri

ナッツの一種。
脂肪分が多く料理のコクづけにすりつぶして使用する。
キャンドルナッツとも呼ばれる。
マカダミアナッツで代用できる。

トラシ Terasi Udang(トラシ・ウダン)

海老やアミを熟成、発酵させた発酵調味料で強烈な香りを放つ。
そのまま使用すると生臭みがでてしまうので炙ったり、
油で炒めて香ばしさを引きだしてから使う。
サンバルやブンブのうま味の素。
タイの蝦醤、カピやマレーシアのブラチャンと類似。

↑ こ〜んな風にまとめて乾煎りしてから使います。
生のときと炒っている最中はとにかくすごい臭いがするけど、
一度炒めてしまえば香ばしいうま味に変わります。
とはいえ保存はビニールやプラスチックは避けた方がベター、
香りが突き抜けて保存している棚がなんともいえない臭いにおかされます。
ガラス瓶がおすすめ。常温で保存可能。

椰子砂糖 Gula Merah(グラ・メラ)

椰子の花芽から集めた樹液を固めた砂糖。
白砂糖よりも味わい深く独特の風味があり、スパイスとの相性も抜群。
アミノ酸や有機酸、無機塩類などを豊富に含む栄養食品。
黒々としたものが良品。色の薄いものは風味もおちる。
↑このぐらい黒々としたものを是非使って下さい!
代用品は黒砂糖。


ココナッツクリーム Santan(サンタン)

ココナッツの固形胚乳から作られるクリーム状の液体。
ミルキーでまろやかな風味と南国の香りが特徴的。
紙パックや缶詰入りのもの、パウダー状のものを水に溶かしてから使ってもよい。

タマリンド Asam Jawa(アッサム・ジャワ)

熟したタマリンドの実を固めたもので料理にまろやかな果実味あふれる酸味をつける。
完熟しているので甘みもある。調理の際は少量の水につけて手でよく揉み解して
種を除きタマリンド水にして使う。

場合によっては梅干しで代用できることもある。


ケチャップ・マニス Kecap Manis

インドネシア料理には欠かせない調味料。
黒大豆を発酵させてじっくり煮込み、椰子砂糖、にんにく、レモングラス、
ごま、八角などのハーブやスパイスを加えじっくり煮つめたもの。
甘くてどろっとしている。タイのシーユーダムに類似。

代用は黒蜜+濃口しょうゆ少々

Comments List

  • 菌坊 より:

    acoさん
    こんにちは!!
    数々のスパイスの紹介、そして取り扱い店の紹介まで有難うございます。
    アメ横センタービルの地下には良く行くのですが、分らない食材やスパイスが多く、まだ訳が分りません。
    でも勉強させていただきます。また新たな目でアメ横を見ることが出来るでしょう。
    いつも思うことですが、今回もご自分の結婚式や披露宴のコーディネイト、そしてお料理も現地買出し下ごしらえから他国でやってしまう。それらを日本にいながらイメージできるというのはスゴイ!!としか言い様がありません。
    そのか細い身体付きにどこにそのようなパワーが秘めているのか・・・そのパワーには圧倒されてしまいます
    スパイス楽しみです。勉強させてください。

    最後になりましたが、ご結婚おめでとうございます。

    • aco より:

      菌坊さん、今月もありがとうございます。
      今更のご返信お許し下さい(><)

      今月はいつもとは雰囲気の異なるレッスンとなりましたが
      お楽しみいただけましたでしょうか。

      私ひとりでは何もできません。
      今回の海外挙式も然り。料理教室も然り。
      周囲の方々の多大な協力やご賛同があって実現することができました。
      こんなにやりたい放題やらせていただき本当にありがたいなぁと
      しみじみ感じております。

      インドネシア料理にもやはり発酵食ありき。
      菌坊さんからいただいたぬか床漬けはインドネシア料理との相性も抜群でしたね。ごちそうさまです。

      これからも国境を越えて縦横無尽に食の世界、発酵の世界を楽しみましょう!!

      来月もどうぞよろしくお願いします。

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